近代日本と農政
明治前期の勧農政策

國 雄行( くにたけゆき )
(首都大学東京教授/1964年生まれ)


2018年9月刊
A5判・394頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-052-5 C3021
8800円 (税別)
評者:友田清彦(『日本歴史』855  pp103-105  2019.08)評者:関根仁(『中央史学』44  pp122-124  2021.03)
本書は明治前期の勧農政策を追究するため、明治政府が課題とした富国の実現に向け、どのような政策が立案され、そして実行されていったのかを明らかにする。そのために、
@内務省以前の勧農政策の実態と、内務省の政策との関連、A内務省勧業寮の誕生と廃止、勧農局誕生の経緯、B農商務省設立と勧農政策との関係を、第1部(明治2-6)、第2部(明治7-9)、第3部(明治10-14)と、3期に分けて分析する。
明治前期の政府は農業重視の姿勢を示し、農業を軽視した武士の時代=中近世の農政と、各地に残る米穀偏重の旧慣を否定した。しかし在来農業は否定せず、それに関わる人材、植物、農具、農談会に類する会等は継承し、活用した。政府は西洋の農業制度を導入し、これを体系的に運営することにより、勧農事業を系統的に管轄し、勧農政策を効率的に推進していく仕組みを構築しようとしたのである。
明治前期の農政のねらいは、勧農事業における有機的なシステムの構築であった。
【主要目次】

序 論 近代日本と農政−先行研究の整理と課題の設定−

第一部 民部・大蔵省期の勧農政策(明治2〜6年)
第一章 明治初期民部省の勧農政策(明治2年4月〜4年7月)
第二章 明治初期大蔵省の勧農政策(明治4年7月〜6年12月)

第二部 内務省勧業寮期の勧農政策(明治7〜9年)
第一章 勧業寮期の政治・経済的側面からみた勧農(勧業)政策の動向
第二章 勧業寮期の西洋農業制度の導入構想と国内外農業の調査
第三章 勧業寮期の勧農事業

第三部 内務省勧農局期の勧農政策(明治10〜14年)
第一章 勧農局期の政治・経済的側面からみた勧農(勧業)政策の動向
第二章 勧農局期の西洋農業制度の実施と国内外農業の調査
第三章 勧農局期の勧農事業

結 論

付:人名索引

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