四国猿と蟹蜘蛛の
明治大正 四国霊場巡拝記


佐藤(さとう) 久光(ひさみつ)
(元 種智院大学教授/1948年生まれ)


2018年4月刊
A5判・244頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-032-7 C3031
5400円 (税別)
本書は、明治大正期の2種の四国霊場巡拝記を収録する。
【主要目次】

■四国猿「卍四国霊場巡拝記」(明治35年『二六新報』連載)
ペンネーム「四国猿」の本名は 菅(かん)菊太郎(1875-1950)。愛媛県生まれ。農学博士。愛媛県立の農業高校校長・図書館長などを歴任。本巡拝記は、公表されることを前提とした巡拝記の中で最も古いもので、学術的・論理的に記述されている。著者の博識が遺憾なく発揮され、遍路以外に、当時の政治状況、寺院の尊像、装飾されている絵画・書にも言及。

■蟹蜘蛛「四国八十八ヶ所 同行二人」(大正15年『愛媛新報』連載)
ペンネーム「蟹蜘蛛」の本名は 篠原要(かなめ)(1895-1937)。『愛媛新報』社会部記者。労働争議の取材に傾注したことにより愛媛新報社を追われた。この連載は追放後の執筆によるもので、遍路姿に身を包み門付けの乞食(修行)を行い、遍路仲間と寺院で通夜もした。新聞記者の経験を生かして当時の寺院の様相をきめ細かく綴り、遍路仲間はもちろん、住職、地域住民などから取材する姿勢は記者魂とも思われ、その記述はリアルで実感が込められている。

両巡拝記は、現在の遍路の原型が示されていて貴重な史料となっているが、新聞連載だけで終わってしまったことと、その新聞も現在では閲覧しにくくなっているので、ここにまとめて収録し、難解な語句などに註を付して刊行した。
編者は、大正期の、国内最初のドイツ人(アルフレート・ボーナー)による四国遍路の記録を紹介した『同行二人の遍路』(共訳、大法輪閣)などを公刊しているが、本書は、それに先立つ巡拝記で、同書でも参照されている。

■解説:「卍四国霊場巡拝記」と「四国八十八ヶ所 同行二人」の特徴と意義(佐藤久光)

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