地域文化財の保存・活用とコミュニティ
−山梨県の擬洋風建築を中心に−

森屋 雅幸(もりや まさゆき)
(山梨県都留市教育委員会/1983年生まれ)


2018年2月刊
A5判・330頁・上製本・函入
ISBN978-4-86602-020-4 C3021
7200円 (税別)

本書において使用する「地域主義にもとづく文化財保存と活用」という言葉は、地域内で価値づけられた文化財を地域住民が主体となって保存し、その文化財を核に生成されたコミュニティが、地域づくりなどへ、その文化財を活用していく過程、またはそのような状態を示す言葉として用いた。
その実態について、山梨県で明治初期に成立した擬洋風建築を取り上げる。これは県令藤村紫朗が奨励したことから藤村式建築と呼ばれ、県内に学校建築が5か所に現存し、いずれも指定文化財となっている。
つぎに、この文化財の活用事例として、文化財を拠点とするコミュニティ活動と地域づくりの結びつきと、地域住民の文化財とその保存・活用に対する意識を明らかにする。

【主要目次】

序 章 
書の目的と方針

第1章 地域主義にもとづく文化財保存と活用の沿革と研究者の主張
     求められる文化財保護の在り方/
     文化財保護における地域主義登場の背景/
     文化財保護法改正後の動向/
     1970年代の議論で残された課題/他

第2章 地域主義にもとづく文化財保存と活用の歴史的経緯と実態
     擬洋風建築の小学校の建設/
     藤村式建築の学校成立と藤村紫朗の接点/
     現存する藤村式建築/
     各地の藤村式建築、保存経緯、活用の比較/他

第3章 文化財を核としたコミュニティ活動の分析と考察
      −旧津金学校・旧尾県学校を事例に−
     文化資源活用協会・尾県郷土資料館協力会の結成と活動/
     各コミュニティのキーパーソンの地域への想い/他

第4章 近年の文化財保護政策の課題と地域主義
      −1990年代以降の動向を中心にして−
     文化財の地域での活用/観光資源としての文化財の活用/
     文化財保護策・観光振興施策年表/他

終 章 本書の結論と課題・展望

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