法印様の民俗誌
東北地方の旧修験系宗教者

関口 健(たけし) 著
(元岩手大学大学院連合農学研究科研究員/1968年生まれ)

2017年10月刊
A5判・400頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-005-1 C3039
8900円 (税別)
評者:鈴木正崇(『日本民俗学』295  pp141-145  2018.08)
「法印様」(ほういんさま・ほういんさん)は、現在の東北地方において活動する旧修験系宗教者の近世的な有り様を伝える民俗的語彙の一つである。
本書は山形県内陸部を中心に今も活動を続けている法印様と、彼ら・彼女らを受け入れ、「法印様に拝んでもらう」人々の姿を明らかにしようとしたものである。
【主要目次】
序 論  本論の視点/
 法印様の発見/
 近世末期における在地修験に関する民俗誌的復元
第一章 在地修験の形成と法印様 ―葉山末派を例として―
第一節 慈恩寺から金剛日寺へ
―近世初期における村山葉山の修験集団をめぐって―
 羽黒山と慈恩寺/
 慈恩寺との分峰と医王山金剛日寺/
 葉山末派修験の成立
第二節 葉山修験再考
―近世期に展開したる「葉山末派」について―
 新庄領内の修験勢力と葉山末派/
 修験支配と葉山末派/
 補任と免許/
 自身引導
第三節 葉山縁起追考
―失われた山岳霊場の空間復元に関する試み―
 葉山三山五嶽について/
 殺生禁制と聖域の構造/
 女人の禁制
第二章 山岳信仰と在地修験 ―法印様の周縁―
第一節 蔵王連峰の信仰と修験
―山形県村山地方の登拝口別当について―
 霊山としての蔵王/
 奥羽国境の蔵王権現/
 村山地域の口宮別当/
 蔵王への信仰
第二節 御祈祷帳にみる羽州八聖山の信仰
―祈祷所大瀧家を中心として―
 八聖山に祈る人々/
 供養塔と信仰の広がり/
 鉱山師達の山岳信仰
第三節 葉山参詣の民俗誌
―明治末期における信仰圏の分析を基軸として―
 葉山の作神信仰/
 葉山登拝の諸形態/
 葉山講とその習俗/
 麓の葉山信仰
第三章 法印様の民俗誌 ―旧修験系宗教者の現在―
第一節 ある法印様と現代 ―里修験のそれから―
 法印様の住む里/
 法印様の暮らし/
 法印様の民俗誌/
 法印様の宗教活動
第二節 僧となった法印様の三類型 ―調査ノートより―
 家業型の法印様/
 修験型の法印様/
 別当型の法印様
第三節 法印様と死者供養
―山形県上山市清光院の神葬信徒について― 
 上山の修験/
 末派支配と檀家組織/
 滅罪檀家の変容と明治維新/
 神葬信徒
結 語  村山地方における法印様の成立/
 法印様の周縁/
 法印様の現在

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