「本書が対象とする時代は、明治維新という変革期を挟んで、近世から近代へと体制が移行する過渡期が中心である。(中略)さらに、過渡期がほぼ終焉し新しい時代の姿がみえはじめてくると、その時代の転換点のもつ歴史的な意味をあらためて考察するような動きもはじまる。(中略)
右のような時代状況に接近するにあたって、歴史意識・政治思想・情報、等々に素材を求めつつ、茨城地域を中心に論じたのが本書第一編である。本編は「茨城の歴史と明治維新」を統一テーマとして、2013年11月に開催されたシンポジウムの報告に加筆した原稿5本に、新稿2本を加えたものからなる。第二編では、解体しつつある身分制社会における「由緒」の在り方とそれに対する意識、その取り込みと発露についての具体的な実相を解明したものである。」(佐々木「本書の課題と構成」より) |
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【主要目次】 |
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本書の課題と構成 |
佐々木寛司 |
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第一編 歴史意識・思想・情報 |
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徳川斉昭の名誉回復をめぐる動向 |
門馬 健 |
明治二〇年代初頭 地方青年の政治活動
―民権運動家・森隆介と雑誌『常総之青年』を中心にして― |
飯塚 彬 |
明治知識人の思想と行動
―野口勝一と旧水戸藩の勤王功績調査― |
林 真美 |
岡倉覚三の明治維新観
―世紀転換期における「日本」の語り― |
清水恵美子 |
会沢正志斎と「水戸学」の系譜
―幕末から戦後まで― |
桐原 健真 |
史料紹介:茨城大学図書館所蔵古文書にみる幕末維新期の水戸藩 |
木戸之都子 |
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第二編 由緒意識とその行動 |
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近世後期在郷商人の由緒的結合と活動
―水戸藩領の土地証文解析と郷士格取得の経緯を通して― |
皆川 昌三 |
秋田藩佐竹家中長瀬氏系図の成立と旧領常陸
―幕末・明治期の由緒探求と同苗間交流― |
天野 真志 |
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