民俗と内的「他者」
―祭祀組織と非組織の関係―


林 英一著

(日本民俗学会会員)

1997年5月刊
A5判・304頁・上製本・函入
ISBN4-87294-86-9
6800円


「有事に際して、有事の母体を一つの内在として設定し、形成された「組織」を主体として捉えるならば、非「組織」は、形式的にではあるが主体に対する「他者」としての存在として捉えられることになる。するとここに主体と他者という二項的な関係が概念として得られたことになる。
 しかしこの主体と他者は、一つの内在を前提とした組織形成であり、そこに二項的な関係がみられたとしても、両者の内在としての前提は変わらない。ここに本書での大きなテーマが生じたのである。民俗において事象対応として、このような他者がどのように形成され、またどのように主体とに相対的な位置付けがなされるのであろうか。
 本書は二部構成となっている。1部は葬式をめぐる葬家(主体)と地縁的互助組織(他者)との関係を導き、これをベースにして祭祀・行事における祭祀組織(主体)と非組織(他者)との関係を理論的に論考したものであり、2部は1部での成果を基にして、いくつかの地域を取り上げ、地域ごとの両者の関係を捉えたものとなっている。」
(「はじめに」より)


【主要目次】

序 章  死の忌の複合的構成
第1部 内的他者の性質と機能
第1章 内的他者としての存在の設定
第2章 家と同行の位相―香川県坂出市府中町の事例から―
第3章 祭祀に表出した内的他者としての存在
第4章 内的他者としての存在の性質―その客体性を指標として―
第5章 内的他者としての存在の機能
第2部 内的他者の地域における展開
第1章 祭祀の構成と内的他者としての存在
―岐阜県加茂郡白川町切井の事例より―
第2章 内在の流動的展開の様式
―香川県綾歌郡宇多津町の事例から―
第3章 内在の全主体的展開―福井県小浜市下根来の事例から―
第4章 世代階梯と内在の形成―千葉県市原市西広の事例から―


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