文書館運動の周辺

高橋 実著

(茨城県立歴史館首席研究員)

1996年11月刊
B6判・254頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-66-4
2800円 (税別)
品切れ
 …私たちは史料そのものの保存と管理にもっと責任を負うべきである。その責任をシステムとして担保するのが文書館制度であることを銘記すべきである。

 そういう認識にもとづいているからであろうか、文書館運動の担い手の批判は厳しくかつ主張は強い。しかしそれは、史料や学問に対する謙虚さの表現であり、真摯な姿勢に由来していると私は思っている。ともかく、史料がもつ豊かな情報の多くは史料そのものに備わっているのである。したがって、歴史的評価の素材、多様な生情報資源は、そのまま後世に伝えなくてはならない。これが「史料保存の思想」である。この思想を是とするならば、史料の立場に立って思い切った発想の転換や姿勢の変更、つまり従来の史料保存運動から、その遺産を批判的に継承する文書館運動への転換を行なうべきではあるまいか。(本書「あとがき」より)

史料保存利用運動・文書館運動に関わってきた著者の思いを、以下の3編に分けて収録。
【主要目次】
序 章 日本における文書館の現状と課題
第1編 史料の保存と文書館
第1章 文書館への招待
第2章 記録史料の保存と文書館
第2編 史料保存運動と公文書館法
第1章 公文書館法と自治体の文書保存問題
第2章 公文書館法の評価と史料保存利用運動問題
第3章 「地域史料の保存」を考えるにあたって
第3編 文書館の周辺断章
史資料保存公開機関の性格と役割/韓国の政府記録保存所を訪ねて/台湾総督府文書見聞記/史料の保存について/記録史料の保存と文書館/公文書館法の施行と文書保存利用問題/書評:岩上二郎著『公文書館への道』/ほか
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