地蔵信仰と民俗[新装版]

田中久夫著
(神戸女子大学教授)

1995年12月刊
B6判・268頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-42-7
2800円 (税別)
品切れ
 2008年4月6刷出来


地蔵研究は今、大変盛んとなってきた。都市民俗学の格好のテーマだからであろう。
そして、驚くべき勢いで研究が進んでいる。それでも、本書で取扱っている平安時代から鎌倉時代までの信仰の実態は、いまだしといった感がする。
本書は2部構成をとる。
第1部〈地蔵信仰〉 平安時代に平氏が地蔵一仏信仰を関東から京都に持ち込んできた。これが末法思想と巧く合致して、地獄での代受苦の菩薩としての地位を確保し、全国に広まっていった。伯耆の大山と下野の岩舟寺がことにその中心であった。しかし、これも鎌倉仏教が登場し地獄がなくなると、急速にその信仰を失っていったのである。ただそれでも、農民たちの地蔵への信仰は、田植えを助ける地蔵や、矢拾い地蔵などとして残った。また代受苦としての歯痛の神様や、安産の神様などとして残ったのである。
第2部〈祖先祭祀〉 近年、この祖先祭祀の研究も大いに盛んになってきたが、ここでは墓地と霊魂観を中心に述べている。


【主要目次】

本書は、1989年・木耳社刊「オリエントブックス」の新装版です。
1地蔵にすがった人たち
末法の仏
地蔵信仰を布教したのは誰か
知恵の虚空蔵菩薩と、蘇生・延命の地蔵菩薩
魂の救済は阿弥陀、地蔵には疫病消除

2カミを怖れホトケを崇めた人たち
祀られぬカミたち
忘れられたカミたち/棄てられたカミたち/怖れられたカミたち)
祀られるホトケたち
疫病消除としての石塔/供養としての石塔/餓鬼道での苦しみを抜く盂蘭盆会/お盆と農耕儀礼/諸霊を祀る大晦日の問題/ホトケの正月/福の神と大正月/ 収穫祭としての大正月行事/日本人と祖先祭祀)



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