岩田書院ブックレットE
文書館の防災を考える

小川 雄二郎著
(富士常葉大学 環境防災学部教授)


2002年8月刊
A5判・96頁・並製本
ISBN4-87294-257-4
1400円

「同一の資料を多く印刷する図書とは異なり、公文書館等の文書保存施設では、一つしかない、それしかないといった唯一性の高い資料を収集して、保管する。
そのためには特別な施設や設備の準備と配慮が必要である。それでもなお、万一災害が発生した場合には貴重な資料を可能な限り災害から守るため、適切に対応し、復旧を実施することが求められる。そのためには、万一の場合を想定して防災対策を講じなければならない」(本書より)
(財)都市防災研究所研究部長、国際連合地域開発センター防災計画主幹、アジア防災センター所長、などを歴任した著者が、日本や世界の事例をもとに、判りやすくまとめたもの。災害が起きてから対応することよりも、如何にして被害を生じさせないかが、より重要であり、その観点から、文化財レスキューや修復ではなく、防災に主眼をおいて記述。
付録資料として、ヘーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護のための条約)を収録する。
【主要目次】
第1章 文書館の防災対策はなぜ必要か
防災の観点から見る文書の保存期間/保存期間に対応した防災の必要性
第2章 被害を考える
20世紀の世界の被害/20世紀の日本の被害/事例に見る火災被害/事例に見る地震被害
第3章 災害の防止を考える
考えておくべき被害/災害による被害/火災への対応/水害への対応/落下への対応/環境からの被害と対応/その他の被害への対応/はじめから被害を避ける
第4章 戦争・紛争を考える
戦争による被害/戦争に対する文書館のとるべき対応
第5章 我々は何から始めるか
現状を知る/災害を経験する―災害の疑似体験プログラム/支援を得る―助け合いのネットワーク
第6章 資料:ヘーグ条約(和文・英文)
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