法然浄土教成立史の研究


吉田 清 著
(花園大学教授/1935年生まれ)

2001年4月刊
A5判・206頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-200-0
2800円


 「従来の、文献史料による仏教史学の方法は、歴史の表層部分が対象であって、庶民は研究者の視野にはない。本論の研究対象は、法然聖人の念仏集団である。初期浄土教教団を構成したのは、庶民の中に生きた念仏ヒジリ達であった。…法然聖人と、誕生まもない専修念仏教団が遭遇する「念仏停止」を通して、その向こうに見えるようになったのが「ヒジリ」の社会と教団である。法然聖人の浄土教は、こうした民間に広く存在した念仏ヒジリを擁することで成立するのである。その念仏ヒジリとは、一体どのような人達だったのか。…念仏ヒジリの歴史的実体を明らかにすることは、現在の仏教教団の置かれている窮状を克服するための重要なポイントでもある。」        (本書「あとがき」より)


【主要目次】

序 章

第1章 念仏停止と法然の社会的立場
 第1節 七ヶ条起請文
 第2節 関東武士への消息
 第3節 興福寺と天台宗教団の動向
 第4節 門下の唱導と勧進活動
 第5節 法然と重源

第2章 念仏停止と勧進活動
 第1節 嵯峨清涼寺の念仏ヒジリ
 第2節 高野ヒジリ
 第3節 六時礼讃
 第4節 鎮西念仏上人
 第5節 中世社会と法然教団

第3章 嘉禄の念仏停止
 第1節 教団の分散
 第2節 門下の分流の萌芽
 第3節 念仏上人空阿弥陀仏
 第4節 嘉禄の念仏停止
 第5節 聖覚と念仏停止

第4章 教団再生への動き
 第1節 合唱の念仏
 第2節 臨終念仏と善知識
 第3節 鎌倉への下向と門下の動向
 第4節 洛中門下の動向

終 章 鎌倉仏教の成立
 第1節 村落の社と寺
 第2節 古代仏教から中世仏教へ
 第3節 鎌倉仏教の成立



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