報徳と不二孝仲間
―二宮尊徳と鳩ヶ谷三志の弟子たち―


岡田 博著(埼玉県鳩ヶ谷市文化財保護委員)

2000年8月刊
A5判・394頁・上製本・函入
ISBN4-87294-175-6
5900円

再版序より…『二宮尊徳全集』に現れた二宮尊徳の赴任地、野州芳賀郡桜町領内の「不二孝仲間」の農民たち、また「報徳仕法」が桜町領外の常野両国の大名・旗本領へ伸張する際に、その施行窓口になった鳩ヶ谷(小谷)三志門下の米穀商人の存在と活動を、世人に知っていただき、そして同時に私の胸中に巣くった二宮尊徳の実像を世人と共有することを願ったのであります。
佐々井典比古氏(報徳博物館長)旧版序より―これは従来の尊徳研究にも不二道研究にも全く見られなかった新しい発見で、要約すれば次の諸点になろう。
@桜町領内ことに物井村には不二孝講仲間の篤農家が多く、率先して尊徳に協力し、仕法のリーダーとなり、文政12年春の仕法存亡の危機にも、命がけで大きな働きをした。
A領内の素封家峯高七郎治や領外下高田村の太助、それに井上村の右行、下館の桐行、宇都宮の斗行など多くの商人は、同気の緊密な連携のもとに、米麦ほか物資の大量取引、経済情報の収集提供、仕法資金の活用増殖などに大きな役割を果たした。
G天保3年の末、右行(柴兵右衛門)と斗行(柴田屋平八)は、桜町陣屋に泊まり込んで集中的に尊徳と対話・聴聞し、尊徳の思想の「爆発的」な醸成に役立った。
C大島勇助・欽行(若林金吾)・不退堂聖純らは、天保3〜5年の間に相ついで桜町に来り、思想と連動する初期の仕法雛形の作成や、原理的述作の浄書整理などに腕をふるった。
D報徳仕法が桜町領をこえて、谷田部藩・斉藤鍬太領・宇都宮藩・下高田村などに急速に試みられたのは、岸右衛門・右行・斗行・太助などの熱意に負うところが多い。重ねていえば、本書は、小谷三志の弟子であると同時に二宮尊徳の弟子となった人たちが、尊徳の教えに感動して、それぞれの分を尽くして精励し、初期の報徳仕法の展開と報徳思想の醸成に協力しつつ、自らも成長して行った記録である。



【主要目次】
『尊徳と三志を結んだ人たち』(1985年、報徳文庫刊)を改題して復刊

1 下物井村岸右衛門/2 井上村兵右衛門/3 欽行若林金吾/4 峯高七郎治/5 西物井村金兵衛/6 大島勇助/7 中村勧農衛/8 柴田屋平八/9 不退堂聖純/10 下高田村太助


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