奈良時代の史料と社会

瀧音能之著

(駒澤大学助教授)

1999年4月刊
A5判・172頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-139-X
2000円
品切れ


「奈良時代は、わずか七十年あまりしかないが、そこには当然のことながらさまざまな人間模様が刻みこまれている。いやむしろ年数が少ないがゆえに、かえって凝縮された人々の顔が時代の波間にみえかくれしているように思われる。その意味で、奈良時代といわれる八世紀は、波乱の世紀ということができよう。
 このような奈良時代を、何とかダイナミックに、しかも堅実にみつめてみたいと思ってまとめたのが本書である。全体を二部に分けて構成し、そのうち、1部では、政治の流れを追えるように、人物や事件を中心にして五つの章を配置した。また、2部では、社会・制度や文化といった諸々の様相をみてとれるように、五つの章を立ててみた。」
(「はじめに」より)
 各章には、概説を付し、それぞれに関連する史料の原文を掲げ、そのあとに、読み下し文をつけ、理解を深められるようにした。


【主要目次】

1 激動の社会
1 藤原不比等とその時代(大宝律令の撰修・完成/平城京遷都/養老律令の施行・歴史)
2 長屋王の変(長屋王の変/光明子の立后/長屋王の無実/天然痘流行/藤原四子の死)
3 藤原広嗣の乱と橘奈良麻呂の変(藤原広嗣の上表・挙兵/橘奈良麻呂の変)
4 藤原仲麻呂の乱(藤原仲麻呂〈恵美押勝〉の乱)
5 道鏡の栄枯盛衰(道鏡皇位事件/道鏡の失脚)

2 社会の諸様相
1 律令制度(戸令/田令/賦役令/軍防令)
2 遣隋使・遣唐使(遣隋使始まり/大業三年の遣隋使/推古朝の日中交流/遣唐使停止)
3 農民の生活(筑波山での歌垣/口かみの酒/漁業のイメージ)
4 貴族の生活(職員令)
5 天平文化(国分寺建立/大仏建立・開眼/行基弾圧/行基の大仏建立支援/鑑真来朝)

【史料】続日本紀・類聚三代格・律令・隋書倭国伝・日本書紀・風土記・鑑真和尚東征伝・ほか


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